音を、音ではない方法で、音として伝える方法

音

音楽が好きな人にとっては、絶対に欠かすことのできない存在。

そんな存在について、答えの無い考えを巡らせる出来事がありました。

きっかけは設定ミス

きっかけは設定ミスでした。

ある日、「シンプル・シモン」という映画を見ていました。

 

日本語の字幕に設定して、再生して見ていると、シモンがドラムを叩くシーンが流れてきました。

すると、シモンは何も言っていないのに、こんな字幕が出てきました。

 

「軽快なドラムを叩く音」

 

「喋ってないのに字幕が出るなんて不自然だなー」と一瞬思いました。

しばらく考えていると、それは自分の常識で考えていたことがわかりました。

 

「そうだ、これは音が聞こえない人のためにある字幕なんだな」

僕は日本語の字幕を、聴覚が不自由な人用に設定していたのでした。

 

と、同時に、「待てよ、聴覚に難がある人は、普段こうやって映画とかテレビを見ているのか・・・・・・」と改めて考えさせられました。

 

音を言葉で説明できるか?

 

 

-五感のうち聴覚が知覚する対象-

 

こう説明は出来ますが、我々が知覚している微妙な音の響きを言葉で説明するのはとても難しいです。

 

例えば、こんな音を言葉で説明してみました。

 

電車がホームに止まる音

「ゴオオオオォーーー」と轟音を立てながら風を切りつつ「キイィ」とブレーキで車輪と線路の摩擦によって引き立てられる気分の良く無い音が混じりながら、「ガタンッ」と車両が止まりきる音。

 

箱ティッシュから1枚のティッシュを取った時の音

鳴るのはほんの一瞬。束ねられたティッシュと引き取るティッシュの摩擦音と、箱と引き取るティッシュの摩擦音が一つに重なり、「シュッ」と音がする。

 

海苔を食べる時の音

口を開ける時に、わずかに顎の骨と皮がかすれながら、海苔を挟んで歯が重なる瞬間に、「パリッ」と余韻の残さない音が一瞬だけ控えめに鳴る。

咀嚼をすればするほどその「パリッ」は若さを失って、何を食べても最終的に収束される、あのクチャクチャ音に変容していく。

 

こんな感じで説明できるでしょうか。

ただし、臨場感を伝えるには、これだけでは伝わらないと思います。

なぜなら、それぞれの音を説明している間に、他の音も混じり合っている事実も伝えないといけないからです。

電車がホームに止まる時、駅構内で電車発着のメロディが鳴るし、駅員さんはアナウンスをするし、乗客の喋り声もする

 

 

音を、音ではない方法で、音として伝えるのはとても難しいです。

 

どうすれば音が聞こえない人に音を伝えられるんだ?

どうやったら伝わるだろう?

 

どうすれば自分が感じているこの微妙な感覚と同じ感覚を味わってもらえるだろう?

 

この命題に気付かされてから、悶々と考えて、今も悩んでいます。

 

本当に難しい。

 

素晴らしい音楽を、同じ感覚で共感できるようにしたいです。

魅力的なものを、みんな同じように享受できるようにしたい。

 

もっともっと考えてみようと思います。

今日は、世の中にある色んな物を五感で感じ取れることに、本当に感謝する出来事でした。

by
Fujiki galleryの管理人。 ゲームプランナーをしています。 大学時代には、美術・芸術を専攻。 Twitter(@Fujiki_Gallery)では音楽、美術中心につぶやきます。
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