Fujiki-Galleryは、Fujikiが絵画・音楽にまつわる情報をざっくばらんに好きなように発信するブログ。 洋楽、特にマイケルジャクソンが好き。

荘厳さに潜む、ミクロの世界―「バベルの塔」展レビュー―

original

24年ぶり来日の「バベルの塔」

ピーテル・ブリューゲル「バベルの塔」は有名な絵ですが、24年ぶり来日だということで、何としても行きたかった展覧会でした。

ブリューゲルの”ザ・フランドル”的な絵が大好きなのですが、この「バベルの塔」だけすごく異色というか、圧倒的な存在感だなぁと前々から思っていたので、

実際はどんなサイズの絵なのか、どんな色味なのか、どんな細部が描かれているのか、とても気になっていました。

 

7/2(日)が東京都美術館(上野)での最終日だったので行ってきました。

 

豪華な”賑やかし”の画家

いつものことだけど、今回の「バベルの塔」のような、展覧会のテーマになっている画家目当てで行っても、その人の絵だけが展示されている訳ではないです

例えば、「ダ・ヴィンチの展覧会!」と言っても、せいぜいダ・ヴィンチの絵は2枚くらいだったりします。

美術館だって、年間の予算はあるわけで、その中で展覧会をやりくりしないといけない。

となると、「バベルの塔」のような、”ビッグタイトル”をヨーロッパの美術館から借りるにはお金がかかるので、他の作品は大体ショボくなったりします。(世の中の宿命)

借りる予算もなくなると、ついに自前の所蔵絵画を持ってきて、なんとか強引に展覧会のテーマと結び付けて、展覧会を成立させようとします。

 

そして今回も案の定、ブリューゲルの作品は少なくて、同時代の周りの画家で”賑やかし”がされていました。

ただ、ヒエロムニス・ボスが取り上げられていたのは予想外でした。

 

ヒエロムニス・ボスという画家は、その人だけで展覧会を作れてしまうようなスーパーな画家なのですが、

正直、展示室に入る前までは『バベル』しか目に入ってなかったので、賑やかしとしてボスの絵が見れるのは豪華な展覧会だなぁと思いました。

展覧会では、ブリューゲルの絵が形成されるきっかけとして、ボスの「幻想的な」絵が語られていました。

ヒエロムニス・ボス  「聖クリストフォロス」

一見、フランドル地方の普通の宗教画に見えてもおかしくないが、よくよく見ると、壺が小屋になっていたり、後ろの方で男が熊らしき生き物を吊し上げていたり・・・する。

 

そういえばブリューゲルの絵もボスみたいなよくわからんモチーフを描いてたなと思い出しました。

この展覧会だけを見れば、ブリューゲルといえばバベル!と思いたくなりますが、ブリューゲルの絵は全部が全部、あんなにカッコよくないです(良い意味で)

真っ白い卵に足が生えたモチーフとか…ガイコツが生き生きと人間を殺している絵とか…。

幻想的、半ばグロテスクなモチーフが登場する絵が多いです。

ピーテル・ブリューゲル 「怠け者の天国」

白い卵に足が生えたのとか・・・、

ピーテル・ブリューゲル 「死の勝利」

ガイコツが生き生きしてるのとか・・・。

 

ボスとブリューゲルのダブルグロテスクアタックによって、バベルまでの道のりを楽しませてくれました。

 

そしていよいよ・・・「バベルの塔」と対面

とはいえ、やっぱりバベルが気になる・・・!

「24年ぶりに来日」とか言われたら、そりゃ気になります。

美術館の2階に辿り着いて、いよいよお目当の『バベルの塔』が見えました。

 

正直身震いしてしまいました。

 

絵自体はそれほど大きくはないが、圧倒的な塔の存在感

ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を見た時以来の身震いかもしれない・・・。

そして近づくと、緻密に描かれた細部

 

空想上の建物を、こんなに血が巡っているように、存在感を持って描かれてしまうのか、、と黙るしかありませんでした。

 

同じ階の別室では、バベルの塔を3D図面にして解説しているムービーが流れていたが、これも見ものでした。

あれだけ壮大な建物を描きながら、細部を見ていくと、そこに住む人たちの暮らしも見て取れるという、民俗的な要素を織り交ぜるブリューゲルならではの特徴がある、との解説。

babel_micro

一部をピックアップして見ると・・・ちゃんと人々の生活が描き込まれています。

左の赤いのはレンガ、白いのは漆喰。バベルに住まんとしている人たちがしっかりとこの塔を建てている様子がうかがえます。

 

おぉ、遠くで見たら分からんかったけど、こんなところまで描き込まれてるのか!

だからあの塔は活き活きしとるのかな?

無機質な感じがしなかったのは、ブリューゲルがちゃんとこの塔に人々を「生活」させていたのが理由なのかもしれないです。

ひたすら目を輝かせっぱなしでした。

 

ぜひみなさんにも同じ体験を

『バベルの塔』は、まず壮大さにやられ、そして緻密さに感心させられるという、最後の最後まで楽しませてくれる絵でした。
もう東京での展覧会は終わってしまいましたが、ネットで検索して見ても、全く同じ感情を持って楽しめる絵だと思います。
ぜひ見ていただきたいです。
ありがとう、ブリューゲル。(ボスもね)

by
Fujiki galleryの管理人。 ゲームプランナーをしています。 大学時代には、美術・芸術を専攻。 Twitter(@Fujiki_Gallery)では音楽、美術中心につぶやきます。